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2023年3月24日

第2回【令和6年度改正】居宅介護支援事業所/介護予防支援の指定対象拡大の影響予想


【令和6年度改正】居宅介護支援事業所/介護予防支援の指定対象拡大の影響予想

1.居宅介護支援事業所、再登板

令和4年12月20日に取りまとめられた社会保障審議会介護保険部会の介護保険制度の見直しに関する意見において、地域包括支援センターの体制整備等の項目において、令和6年度介護保険法改正では居宅介護支援事業所に対して介護予防支援の指定を拡大することが明記された。これによって居宅介護支援事業所が直接、予防ケアプランを受注できることとなる見込となっている。しかしながら、2023年3月現在、その詳細については今後の通知待ちとなっている。

2.要支援者はどうしたらよいのか

セミナー等で特に頂く質問が、現在に於いて地域包括支援センターが抱えている要支援の利用者についての取扱である。既存の利用者はそのまま地域包括支援センターの契約として、新規の利用者のみ居宅介護支援事業所の契約とするか否かに注目が集まっている。しかし、現時点においては何も明らかにはなっていない。また、意見書に於いても、地域包括支援センターの一定の関与を担保した上でとの断り書きがあることから、手放しでの移行では無く、何らかの関与が必要であると思われる。また、総合事業における従前相当サービス等として行われる介護予防ケアマネジメントAについても、利用者の状態像等に大きな変化がないと認められる場合に限り、簡素化を可能とするとされた。従前相当サービスとは、2018年まで予防訪問介護、予防通所介護であった現在の第一号事業を指す。

3.地域包括支援センターの抱える問題

地域包括支援センターについては、令和3年度からスタートした重層的支援体制整備事業による8050問題の相談窓口など、総合相談支援機能に特に力を入れるべきとされている。8050問題とは、引きこもりの子供を抱えるご家庭で起こりつつある問題を指す。引きこもりの子供を抱えるご家庭では、親が子供の面倒を見ることとなる。しかし、親が80代に差し掛かり、子供が50代となる家庭が増えた現代に於いて、親の介護の問題や寿命の懸念が発生してきた。これを8050問題という。この問題を持つ家庭が行政機関に相談に行っても、多くの場合にたらい回しとなっている現実が指摘された。令和3年の介護保険法改正に於いて、断らない相談支援としての総合相談窓口を地域包括支援センターに於いた。これを重層的支援体制整備事業という。結果として、地域包括支援センターの業務が増大傾向にある中で、人材不足の波は例外なく襲ってきている。

業務の負担軽減のための見直しが急務となっている。そうした時に、地域包括支援センターの業務の中でも、大きな負担になっているのが予防ケアプランである。予防ケアプランは、地域包括支援センターが利用者との契約後、地域の居宅介護支援事業所に外部委託しているのが現状である。しかし、その手間に比して介護報酬が低く、手間としての業務内容は通常にケアプランと大きく変わることは無いために、居宅介護支援事業所が受託を敬遠している状況も見受けられている。この点については、令和3年度改正時にも論点として議論されたが、当時も地域包括支援センターが一括して管理すべきとの建前論での意見が多く出されて、令和3年度介護報酬改定時に委託連携加算(初回のみ300単位)が創設されるに留まった経緯がある。しかし、この加算も初回のみの設定で、効果の程は然るべきであった。

4.予防プランに秘める可能性

なかなか、居宅介護支援への外部委託が進まない利用が、実はもう一つある。それは、外部委託場合の税金の問題である。通常、介護サービスは消費税については非課税であるが、居宅介護支援が委託を受託すると外注扱いとなり、消費税の課税対象になってしまう。社会福祉法人などでは、同時に営利事業となることが問題である。

今回の改正で居宅が介護予防支援の指定がされるとすれば、介護サービス扱いとなって消費税の課税の問題がなくなり、非常にメリットが大きいと言える。また、事業所が直契約できることになれば、新しいビジネスモデルが出てくる可能性もある。現在、予防プランの引き受け手がいないということは、そこに大きな市場があるということだ。令和6年度からの制度で、どのような形での移行になるか、期待を込めて正式な通知を待ちたい。

著者プロフィール

小濱 道博 氏

小濱介護経営事務所 代表
C-SR 一般社団法人介護経営研究会 専務理事
C-MAS 介護事業経営研究会 顧問


昭和33年8月 札幌市生まれ。
北海学園大学卒業後、札幌市内の会計事務所に17年勤務。2000年に退職後、介護事業コンサルティングを手がけ、全国での介護事業経営セミナーの開催実績は、北海道から沖縄まで平成29年 は297件。延 30000 人以上の介護業者を動員。
全国各地の自治体の介護保険課、各協会、介護労働安定センター、 社会福祉協議会主催等での講師実績も多数。「日経ヘルスケア」「Vision と戦略」にて好評連載中。「シルバー産業新聞」「介護ビジョン」ほか介護経営専門誌などへの寄稿多数。ソリマチ「会計王・介護事業所スタイル」の監修を担当。

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