ケアぽすコラム

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2024年8月22日

介護業界の皆様必読「物価高騰給付金」令和6年の最新状況


物価の高騰が続く中、年金で暮らす高齢者の方々への経済的負担は増すばかりです。

介護業界で働く皆様にとって、利用者様の経済的な状況は、心情的な面だけでなく、契約を継続していただけるかという点もあり、気にかけていくべきポイントになっているのではないかと思われます。

そんな中、政府は物価高騰支援のための施策を打ち出しています。いわゆる「物価高騰給付金」は、高齢の利用者様の負担が少しでも軽くなるかもしれない経済支援策です。

ただこの物価高騰支援の給付金は令和4年度から何度も似たような施策が打ち出されており、非常に分かりにくいです。

正直なところ、調べるのも面倒なので知らない方も多いと思われます。

このような給付金は、基本全て申請主義です。確認書が来たら期限までに返信をして申請をしないと給付金がもらえるチャンスがなくなってしまいます。

本記事では、物価高騰への給付金の概要や対象者、申請方法について支援金を受け取る立場に立って可能な限り分かりやすく解説します。

利用者様、身近なご親戚ご家族お知り合いの方で物価の高騰により生活がままならないという方々について、この記事をご確認いただき、給付金が貰える可能性はないか、また、もらい忘れがないか、少し気に掛けていただければ幸いです。

目次

1.物価高騰支援のための政府の施策
2.「物価高騰給付金」の対象者
3.「物価高騰給付金」の申請方法
4.「物価高騰給付金」に関する確定申告や納税に関する注意点
5.令和6年最新の物価高騰給付金の状況
6.物価高騰給付金と他の支援策
7.まとめとご注意

1.物価高騰支援のための政府の施策

コロナウイルス後のサプライチェーンの混乱から始まり、エネルギー価格の上昇、ウクライナ情勢の不安定化、円安の進行により輸入コストが増大したこと等、複合的に要因が絡まって、今なお、物価は上昇し続けています。

2022年から値上げラッシュは続いており、2023年2月には4277品目もの食品や飲料が値上げされました。

こういった値上げラッシュが続いてしまうと、長期間続いたデフレ経済からいつまでたっても抜け出せないと考えた政府は、2023年の11月に、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を閣議決定しました。

この令和5年に閣議決定された経済政策パッケージに基づいて、低所得世帯への給付金を1世帯当たり10万円支給するというものや住民税所得税の定額減税などを実施しています。

・物価高騰への給付金のあらまし

物価高騰に対応するために政府が提供する給付金をここでは「物価高騰給付金」という名前で呼んでいますが、給付金を配る主体は市区町村です。政府は財源の手当をしたところまでです。

政府が財源の手当をしたのなら、直接必要な世帯に支給をすれば良いのに、と思われる方も多いと思いますが実際にはそれができないのです。

というのも、国は非課税世帯の状況と口座情報を把握していないからです。ですから給付金を支給しようと思うと、どうしても市区町村経由で行わなければならないというのが現在の姿です。

物価高等の影響を少しでも和らげて子育て世帯や低所得世帯の経済的な支援をしようということ自体は有難いことですが、政府が財源の手当てをしても、それが実行されるまではかなり時間差が出てきてしまうのです。

・物価高騰給付金の金額

令和5年に政府の予算手当ができた物価高等給付金は一世帯あたり10万円支給するというのが大枠の方針でした。ではどうして、物価高騰給付金10万円や7万円、5万円など、金額の違いが出てくるのでしょうか。

年度毎に異なった形で給付を繰り返してきたことに混乱の原因があります。

  • 令和4年度電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金:10万円または5万円
  • 令和5年度物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金:10万円または7万円
  • 令和6年度物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金:自治体によって異なる

※参考資料
・内閣府ホームページ
「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」
・内閣官房・内閣府総合サイト / 地方創生サイト
「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」
「地方公共団体向け文書及び資料」

また、給付を実施する市区町村毎に給付金の呼び名まで少しずつ違っているのです。

便宜上、この記事では「物価高騰給付金」という名前で呼びますが、給付される中身や金額は、どの各市区町村でも基本は同じです。

具体的に支給される金額は、支援の対象者の課税状況や世帯人数の状況によって異なってきます。

・給付金:最新情報チェックは欠かせない

繰り返しますが、各市区町村がこの給付金を配布する主体になります。

当然、各市区町村に住民票を持っている方が対象になるわけですが、いつの時点で住民票を持っていれば支給対象になるのか。これを基準日と言いますが、これも市区町村によって異なっています。

また、令和5年度の施策は既に終わっていますが、令和6年度の施策についてはまだ申請出来る所もあるなど、いつからどのように給付金を配布するのかについても、市区町村ごとに対応が分かれます。

対象者と想定される方に親切に通知書や封書を送ってくれる市区町村もあれば、そうでない市区町村もあります。

また申請を受け付ける期限も、各市区町村で異なっています。受付期限を過ぎてしまうと給付金はもらえなくなってしまいます。

令和6年度の物価高騰給付金についての最新情報は、住民票がある市区町村のホームページにあります。ご利用者様がお住まいの市区町村のホームページを定期的にチェックするようにしてください。

2.「物価高騰給付金」の対象者

では物価高騰の給付金の支給対象者はどのように決まるのでしょうか。これはその世帯の住民税の課税状況によって決まります。

・自分が対象者かを確認するには?

自分またはご利用者様が給付金の課税対象か確認するには、毎年6月頃に市区町村から届く住民税決定通知書を確認します。

この住民税は昨年の1月1日から12月までの所得をもとに決定されます。

ちなみに、住民税は、住民票を置く地方の自治体に対して納める税金で、上下水道やゴミ処理教育や介護福祉や各種の行政サービスを維持するために使われるものです。

一般の企業にお勤めの方の場合、会社が住民税の徴収をしている場合がほとんどです。これを特別徴収と言います。この場合、住民税決定通知書は会社経由で配られます。下図は会社にお勤めの場合の方の住民税決定通知書です。

「納税義務者用の特別徴収税額決定通知書の記載内容の秘匿 P4」

※資料出典:総務省「納税義務者用の特別徴収税額決定通知書の記載内容の秘匿 P4」より引用

会社勤めをしておられないご高齢者の場合は、公的年金をもらっていると思います。住民税は公的年金から自動的に引き落とされています。これは平成21年から始まった制度で、ご高齢者の場合も年金をもらっている方は会社勤めをしている方の場合と同じ特別徴収になっています。

特別徴収になっていれば、毎年6月ぐらいに上の図と似たような形の税額決定通知書が市区町村から送られてきていると思います。

・住民税の均等割のみ課税世帯

この課税決定通知書の中の所得割均等割という欄を確認します。

この、所得割の欄に金額が記載されていない方、つまり均等割のみ課税されている方が対象者となります。令和5年度の場合、対象になると、物価高騰対策支援給付金(10万円)が支給されました。

ただし、対象外となる場合は

  • 世帯員全員が住民税非課税の世帯
  • 住民税均等割が課税されている方の扶養親族のみで構成される世帯

については対象外となります。

この支援金は、1世帯につき1回の給付が原則です。令和6年度の支援金についても自治体によっては情報が出始めていますが、令和5年にすでに受給している場合は、給付の対象外です。

また同様に、他の自治体ですでに同様の物価高騰支援の支援金を受給した世帯の方も対象外です。

・住民税の非課税世帯

課税決定通知書の中の所得割と均等割という欄が0円になっていた場合は、住民税の均等割額と所得割額ともに課税されていない状態で住民税非課税となります。

支援金は世帯単位で支給されます。世帯を構成する人全員が非課税という状況であれば、この支援金の対象になります。

また、課税されている方に扶養されている世帯は対象外です。具体的には、子(課税)に扶養されている両親の世帯(非課税)はどれだけ年収が低くても対象外となります。

具体的には、お一人暮らしの高齢者の方が非課税世帯であっても、別居している息子さんの扶養家族になっておられて、息子さんが課税されている場合は、支給対象ではありません。

物価高騰給付金の非課税世帯の対象者になると、令和5年度は、1世帯あたり7万円が支給されました。

3.「物価高騰給付金」の申請方法

これまでご説明した通り「物価高騰支援金」の支給は各市区町村で行います。申請方法や必要な書類、給付の時期も特に令和6年度においては各市区町村で異なります。

ここではポータルサイトを作っていて情報が充実している大阪市の事例をもとにご説明します。

令和6年の最新の申請情報なので、大まかな流れがイメージしやすいと思います。

大阪市ホームページ|令和6年度物価高騰非課税世帯・均等割世帯・子ども加算支援給付金

大阪市では電子申請ができます。

これは平日の昼間窓口を直接訪れたり、コールセンターに電話をすることができない人向けに便利なサービスですが、自治体によっては電子申請を受け付けていないところもあります。

申請方法や受付期限、振込時期は必ず、提出先の市区町村に確認をお願いします。

・申請手続き

大阪市の場合、市側が、支給要件を確認できているか、世帯主の公金受取口座を把握できているかによって、手続きが異なります。

①支給要件と給付対象世帯の世帯主の公金受取口座を把握できている場合

「支給のお知らせ」という通知を7月下旬以降、順次発送します。この通知を受け取った世帯は、原則申請手続きは不要です。

②支給要件を満たすと見込んでいる世帯で、口座情報を把握していない世帯

「確認書」を送付します。この申請書に、必要事項を記入し、必要書類を添付のうえ返送します。

③支給要件を確認できない世帯

7月31日(水)以降に各区役所設置の給付金窓口で相談、または給付金コールセンターにお問合せください。7月31日(水)以降には専用ホームページからオンライン申請も可能です。

一定の条件を満たせば代理人による請求も可能な様です。必要な方はよくサイトをご確認いただければと思います。

・申請のタイミングと振込日

申請時期ですが、受付開始の時期も受付終了の時期も決まっています。大阪市の場合、7月下旬以降順次お知らせと確認書を発送します。

確認書の返送期限は令和6年10月11日(金)消印有効です。

転入した直後の方には通知が郵送されない場合もあります。通知書や案内書が来ない場合は、ご自分で注意して自分でホームページ専用ホームページから申請書をダウンロードして申請する必要があります。こちらも申請期限は、令和6年10月11日(金)消印有効です。

給付金の振込予定日は、世帯主の公金受取口座が把握できている場合は、令和6年8月8日(木)以降、順次行う予定となっている様です。

ただし確認書が返送されてきた場合や、申請書で申請する場合、書類受理の後、確認作業が入りますので、書類の不備がない限り3週間から4週間後に入金される予定です。

多くの自治体でも書類の不備がない限りおよそ1ヶ月後に入金というのが標準的な時間のようです。

また電子申請を行ったから特別に給付日程が早くなる等の措置はないようです。

大阪市の詳しい内容はこちらのページからご確認ください。

大阪市ホームページ|令和6年度物価高騰非課税世帯・均等割世帯・子ども加算支援給付金

4.「物価高騰給付金」に関する確定申告や納税に関する注意点

ここでは物価高等給付金の申請に関してよくあるご質問をまとめてみました。

①給付金は課税対象?

「物価高騰対策給付金に係る差押禁止等に関する法律施行規則」により、受給した給付金に税が課されることはなく、差押の対象にもなりません。

ただしこの法律の対象外である市区町村や地方自治体独自で行っている給付金については課税されることも有りえますのでご注意ください。

②確定申告は必要?

「物価高騰対策給付金に係る差押禁止等に関する法律施行規則」により、受給した給付金は非課税になります。非課税の給付金については、確定申告の必要はありません。

③世帯分離や転居の場合は?

各自治体で決められている基準日が判断の基準になります。

例えば自治体が定めた基準日が1月1日だった場合、その基準日の時点での世帯が給付対象になります。従って基準日以降に子供が独立して世帯が分離しても、その子供の世帯は支給対象にはなりません。

引っ越し転居などの場合も同様です。その基準日の時点で、その自治体に住んでいた場合は支給の対象になります。転居の場合は1世帯に1回限りの支給ですので詳しくは転出元と転入先の自治体にご確認ください。

④生活保護受給者の場合の取り扱い

生活保護の生活扶助は、非課税となることから、支給対象となります。この場合にも自治体で定められた基準日以前から生活保護世帯が、支給対象になります。

ただし、世帯員の方全員が、課税されている方の扶養親族等である場合は支給対象にはなりません。

⑤離婚、死別した場合は?

離婚や死別等、基準日の翌日以降に世帯の構成員が変わった場合も、自治体で定められた基準日時点での世帯状況で判断します。

男性が課税されていて女性が扶養であったご夫婦が、基準日時点までに離婚した場合については、女性が離婚後独立した世帯となり、かつ非課税である場合、給付金対象となります。

また、課税世帯のご夫婦で、世帯主が男性でその扶養になっていた女性がいたとします。世帯主の男性が基準日以降に亡くなり、女性が世帯主になって、所得税非課税世帯になった場合はどうなるか。

基準日の段階では、男性である世帯主が課税されていたわけですから、給付金の支給対象にはなりません。

⑥結婚、出産した場合は?

基準日時点までに結婚したご夫婦があり、男性が世帯主となりましたが、夫婦ともに収入がなく非課税の世帯であったとします。この場合は支援金の給付対象になります。

基準日以降にご結婚したご夫婦の場合は、結婚前の基準日の世帯収入と課税状況が、給付金の支給要件を満たす場合は、各々給付対象となります。

ただし、結婚という喜ばしいイベントの場合、この支援金以外で全国の市区町村で実施されている「結婚新生活支援事業費補助金」という制度があります。年齢・所得などの条件はありますが、最大60万円の補助金を受け取れます。

出産によって世帯の人数が増えた場合は自治体によって対応が異なるようです。

原則として世帯を同一にする18歳以下の児童がいる場合には、児童一人当たり5万円が支給されます。

では、基準日の3日後に出産し世帯が1人増えた場合どうなるか。この場合、基準日の翌日から申請期限までに生まれた新生児も対象にしますとホームページで明確にしている自治体とそうでない自治体があります。

詳しくは申請先の自治体のご担当部署に確実な内容をお問い合わせください。

5.令和6年最新の物価高騰給付金の状況

令和5年度に引き続き令和6年度も物価高騰支援の給付金の施策が継続されています。

基本的な制作パッケージの中身としては令和5年度のものと大きくは変わりません。

それぞれの自治体でも昨年と同じ市区町村のホームページに情報を掲載しています。

ただし、令和5年に物価高騰支援給付金を受給された方は、令和6年度には受給資格はないということにはご注意ください。

給付の対象は、あくまでも令和6年度に新たに給付対象になった方のみです。

具体的には令和6年度の課税対象である令和5年1月~12月までの所得で計算した結果、住民税非課税世帯や住民税均等割のみ課税の世帯になった方だけが対象です。

また、令和5年に地方自治体から連絡が来ていて、自分は給付対象であったけれども、給付を辞退したという方もおられると思います。残念ながらこういった昨年度に辞退した方も令和6年の給付対象からは外れます。

・令和6年度国の施策と主要都市の給付金情報(東京都、大阪市、札幌市、福岡市など)

既に令和6年の給付金が始まっている自治体もあります。

各自治体とも給付方法や申請期限がバラバラです。返送が必要なものは、期限までに返送しないと物価高騰支援の給付金が受け取れませんのでご注意ください。

今回はどんなものか理解を深めるために一例として上げていきます。

①東京都

政府による物価高騰給付金の最新情報によると、東京都のポータルサイトはありません。23区各区のホームページを確認する必要があります。

杉並区は7月25日に給付金の受付開始で、順次対象世帯に通知を発送予定です。

足立区は7月2日頃から対象世帯に確認書を送っています。

新宿区は6月19日から順次、圧着ハガキの通知者と確認書を送っています。

23区外の場合は各市区町村のホームページの最新情報をご覧ください。

②大阪市

7月1日に令和6年度の物価高騰非課税世帯支援給付金・均等割世帯支援給付金及び子ども加算支援給付金のスケジュールを決めて報道発表しています。最新情報は先ほども例に挙げたこちらのポータルサイトに載っています。
大阪市ホームページ|物価高騰支援給付金および定額減税補足給付金

7月17日には市役所の給付金窓口も開設しています。大阪の場合入金は早ければ8月の8日からです。確認書の返送期限は、令和6年10月11日(金)消印有効です。

③札幌市

札幌市では、令和6年度の対象世帯と思われる世帯主の方に7月11日から順次確認書又は申請書を送付します。給付金の申請期限は、令和6年10月31日(当日消印有効)です。

④福岡市

物価高等給付金と定額減税と合わせて非常に分かりやすく情報を整理してくれています。
自分がどの制度に当てはまるかわからないという方には、フローチャートまでついていますので確認すると良いと思います。
福岡県ホームページ「令和6年度定額減税・調整給付・物価高騰緊急支援給付金」

福岡の物価高等給付金は、7月17~22日ごろ、確認書が届きます。申請書の受付期限は9月30日(月曜日)※当日消印有効です。

マイナンバーカードをお持ちの方は、電子申請も可能です。スマートフォンから手続きできます。

6.物価高騰給付金と他の支援策

「物価高騰給付金」というのはこれまで見てきたように所得税が非課税であったり、課税されていても均等割のみという課税世帯を対象にしたものです。

ここでは物価高騰給付金の対象とならなかった世帯にはどのような支援策があるのか、それが定額減税です。

・定額減税との違いと併用可能性

令和6年度6月より、所得税が課税されている世帯に対しては定額減税という形で物価高騰に対する支援を行っています。
国税庁|定額減税特設サイト

残念ながら大変分かりにくいサイトだと感じました。
福岡市のサイトはその点、大変分かりやすく、自分がいくら戻ってくるのかシュミレーションツールまでついています。
令和6年度 福岡市調整給付 専用サイト

納税者本人と扶養家族を対象に、所得税3万円・住民税1万円の計4万円を返すという施策です。

扶養家族の有無や単身世帯か、収入によって減税されるパターンは違いますがとにかく納税者本人と扶養家族に対して、一時的に所得税をゼロにする、または所得税で減税しきれない場合は現金で給付するという形で支援を行っています。

定額減税と物価高騰給付金を併用して給付を受けることができるケースがあります。

これは物価高騰給付金が実施されたタイミングが令和5年であり、定額減税が実施されたタイミングが令和6年と異なっていること、両者は全く別の施策として考えられていることから、それぞれの受給要件を満たせば受給は可能であると内閣府が作成した自治体向け職員Q&Aに記載されています。

低所得者支援及び定額減税補足給付金 自治体職員向けQ&A

※資料出典:令和5年度 物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金(給付金・定額減税一体支援枠) 「低所得者支援及び定額減税補足給付金 自治体職員向けQ&A P23」

具体的には、例えばフリーランスで働く単身の世帯の場合等で、令和4年の所得が少なく、令和5年度の住民税非課税世帯を対象とした給付金を受け取った世帯が、その後令和5年度に所得アップして、所得税を納付することができた場合、所得税3万円・住民税1万円の計4万円を受け取ることが可能です。

・電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援給付金

世帯全員の令和5年度住民税均等割が非課税である世帯に対して、電力・ガス・食料品等の価格高騰による負担増を踏まえ、特に家計への影響が大きい住民税非課税世帯に対して支援する給付金です。

令和5年度当初は給付金の金額は3万円でした。

・価格高騰重点支援給付金(こども加算)

世帯全員の令和5年度分の住民税均等割が非課税で、かつ18歳以下の児童がいる世帯に対しては、児童1人当たり5万円が給付されました。

・自治体独自の給付金

令和4年から5年にかけて各自治体独自で独自の臨時特別給付金を出した自治体もあります。大阪市、川崎市、札幌市、福岡市などの自治体独自の給付金を出しています。

例えば、大阪市では、所得が減少し暮らしに不安を抱えているにもかかわらず、国の支援が届きにくい「課税世帯」に対し、市独自の支援策として、臨時特別給付金(1世帯あたり10万円)を支給しています。また、所得水準に関わらず、コロナウイルス感染症の前後(令和元年・2年)で、所得が3割以上減少した世帯へ臨時特別給付金(1世帯あたり10万円)を給付しました。

また大阪市は、国の複雑な給付金について、ポータルサイトを作って対応しており、さきほどご紹介でご説明したサイトとなります。

大阪市ホームページ|物価高騰支援給付金および定額減税補足給付金

※資料出典:大阪市ホームページ|物価高騰支援給付金および定額減税補足給付金

※令和6年8月22日時点ではアクセスが可能です。

各市区町村により給付金の支援のタイミングや給付方法が異なりますのでこういったポータルサイトを各市区町村で作っていただくと助かるのですが、ポータルサイトとして情報を整理されているサイトは、残念ながらほとんどありませんでした。

川崎市でも令和4年に、中学生以下の子ども1人につき1万円を給付するという独自施策を行っています。川崎市は給付金コールセンターを設置して対応しています。

札幌市でも令和4年には児童を養育する世帯を対象に、1人当たり1万円を支給しています。

令和6年には、東京都では国が行う物価高等給付金の配布とは別に、臨時暮らし応援事業として、物価高等給付金の対象世帯に限って、1万円分の商品券を配布するという授業を行っています。

対象となる世帯に通知を送り1万円分を商品券または電子ポイントとして受け取るかを選択してできます。申し込みをした後5週間後ぐらいに商品券が手元に届くというスケジュール感です。

この臨時暮らし応援事業が行われたタイミングが東京都知事選の直前であったため、現職にあまりにも有利に働く意図的な施策だということで対立候補者からは批判が出たのは記憶に新しいところです。

なお国の行った支援金は課税の対象にはなりませんが、こういった自治体独自の支援金については非課税にならず課税対象になることがありますのでご注意ください。

7.まとめとご注意

介護業界で働く方は、単身世帯のご高齢者の方とも接する機会が多いと思います。特に物価高騰による困窮が疑われる高齢者を抱える世帯があり経済的な助力が必要な場合、負担が少しでも軽くなるこのような給付金は是非活用していただきたいと思います。

また介護業界に新たに就業した方でお子様が生まれた場合など、ご自身が該当者になっておられる可能性もあると思います。今までの文章を参考に対象者となるかどうかを確認し、該当しそうであれば各自治体など然るべき機関より詳細を確認し、必要な手続きを行うことで給付金が受け取れる可能性があります。物価高騰支援の給付金の情報を是非、ご活用ください。

最後に非常に残念なことですが、記載が必須な注意喚起です。

このような政府の施策を悪用する形で、内閣府を装った詐欺の【メール】が配信されています。

「内閣府ホームページ」を送信元とし、マイナポータルを騙った偽サイトに誘導するものです。内閣府からメールが送られてきた場合、メールに記載されたURLにアクセスしたり、個人情報を入力したりしないでください。内閣府は各個人へのメールアドレス宛では、広く告知したりご案内することはありません。

尚、現在、物価高騰支援の給付金は全て市区町村経由で行われており、マイナポータル経由での給付金の配布はありえません。

内閣府ホームページ|内閣府を騙った電子メールやサイトにご注意ください

市区町村や内閣府の職員などをかたった【不審な電話】もあるとのことです。不審な電話があった場合は、お住まいの市区町村や最寄りの警察本部・警察署、警察相談専用電話(#9110)にご連絡ください。犯罪の可能性がありますので一人で苦しんだり悩んだりせず、すぐにご相談することをお薦めします。

※詳細については各自治体の制度の担当窓口にお問合せください。

著者プロフィール

上尾 佳子 氏

合同会社ユー・ラボ 代表
WACA上級ウェブ解析士
愛知県出身


バブル期に大手通信企業に入社し、通信システムの法人営業を経験。
1990年代、インターネット検索ビジネスを手がける新規事業部に移り、ポータルサイト運営に関わる。以後20年間一貫して、データを活用したマーケティング支援に携わる。
2011年IoTスタートアップに合流、介護福祉用具カタログをデジタル化するアプリをきっかけに介護業界について知見を深め、2014年独立。
家族の遠隔介護をきっかけに、中小企業へのデータ活用したデジタルマーケティング支援を行うかたわら、介護サービス利用者家族という視点で情報発信を行っている。現在介護関係で2つのサービスを運営中。
介護業界向けカタログアプリ「介護のカタログ」
介護のDX化、ICT化について考えるサイト「介護運営TalkRoom」

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